株主のみなさまへ
AHC
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2026年2月更新 Vol.3
福祉事業の拡大が進んだ1年
事業基盤強化を活かして
新たな成長を目指します
荒木 喜貴
株主の皆さまにおかれましては、日々ご理解とご支援を賜り深く感謝申し上げます。
2025年11月期は、物価や人件費の継続的な上昇に加え、第4四半期にインフルエンザ流行の影響を受けたものの、全体としては概ね堅調な業績を確保した1年となりました。
売上高については、事業所の新設に加え、資本業務提携先である株式会社manaby(マナビー)との協業の進展、グループ会社の株式会社パパゲーノとの新たな取り組みの成果により、過去最高を更新する6,660百万円(前期比6.1%増)となりました。一方、営業利益は新規事業所の開設に伴う費用や、物価と人件費の高騰の影響により108百万円(同14.9%減)となりました。
また、減損損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1百万円(同99.0%減)となりましたが、今後の成長の礎を築くことができた重要な1年になったと考えています。
セグメント別では、まず中核事業である福祉事業は、既存の事業所の稼働率改善が進み、売上高は3,748百万円へと増加しました。一方、営業利益については、新規事業所の開設に伴う先行費用の影響により、219百万円となりましたが、将来への成長に向けた積極的な投資を継続しております。
介護事業は、一部の事業所の閉鎖と譲渡を実施し、その影響により売上高は1,563百万円となりました。営業利益は、継続的に取り組んできた事業所運営の改善施策によって損失額は縮小しており、収益性改善に向けた取り組みは着実に進展しています。
外食事業は、飲食店舗での堅調な収益確保に加え、食材の外部販売が大きく拡大したことにより、売上高は1,347百万円、営業利益は88百万円へと伸長しました。
2025年11月期は、「事業の拡大」「DXの推進」「業務提携の進捗」の3つを主要な取り組みとして掲げ、成長基盤の強化に努めました。
1つ目は事業の拡大です。2025年11月期は期首計画を上回る7つの事業所を新たに開設しました。2024年11月期開設の2事業所も含めて、売上・利益ともに順調な立ち上がりを見せています。新規開設した事業所の業態は、学校卒業後に利用できる生活介護や共同生活援助を中心としており、地域の福祉インフラ拡充に貢献しました。2025年11月期は5事業所純増となり、期末時点で計135事業所となりました。
また、事業の拡大を支える雇用への取り組みは、新卒や中途採用に加えて優秀な外国人人材の採用と定着にも注力しました。外国人人材は福祉事業で5名、介護事業で20名、外食事業で6名、計31名の正社員が当社グループで活躍しています。
2つ目はDXの推進です。現状、当社グループは事業所間や本社と事業所の連携において、非効率な作業や業務プロセスが存在していると認識しています。このような課題を解決するため、2025年11月期はシステム導入による売掛管理業務の自動化を試み、効果が確認できました。
また、AI活用については、手書き帳票のデジタル化という現場の強いニーズに対応するため、株式会社パパゲーノが開発した「AI支援さん」を導入し、従業員の業務負担削減を進めました。加えて、「AI支援さん」のSaaS型ビジネスも順調に立ち上がり、新機能として「AI画像読み取り機能」をリリースしました。販路の開拓と拡大に取り組んだ結果、2025年11月期の契約数は計画比125%、売上高は計画比108%と、計画を上回る実績を達成しました。
3つ目は業務提携の進捗です。この領域では株式会社manabyおよび株式会社パパゲーノと連携し、ITを活用した就労支援業態の確立を目指しました。
株式会社manabyとの連携では、既存の事業所で株式会社manabyのノウハウを導入することで、就労移行支援業態のサービス品質と競争力が向上し、利用者や一般就労者の増加につながりました。株式会社パパゲーノとの連携では、パパゲーノ業態の新規事業所を開設しました。この事業所では利用希望者を早期に獲得することができ、これまで当社が運営してきた就労継続支援B型と比べ、短期間での立ち上げに成功しました。
2026年11月期は、「人材の採用・教育」「事業の拡大」と「DXの推進」の3つを成長戦略の柱として取り組んでまいります。
人材の採用・教育については、引き続き新卒・中途・外国人人材の積極的な採用を推進します。採用した人材に向けては、入社時研修に加えて、特定技能外国人の社員向けに自社支援サポートを行い、定着率の向上を強化します。また、今後の当社グループを支えていく幹部層や中堅層を対象とした研修も拡充させ、組織運営の高度化を図ります。
事業の拡大については、就労継続支援B型を中心に、既存事業所を展開している首都圏と東海エリアにて新たに8つの事業所開設を計画しています。また、外食関連事業では、事業拡大が好調に進んでいる食材の外部販売を一層強化するとともに、顧客の事業課題の解決に貢献できるパートナーとして、新たな取引先の開拓を進めていきます。
DXの推進については、伸展著しい生成AIとクラウド技術を活用したシステムの開発を進め、グループ全体の業務効率化と生産性向上を進めます。そのための施策として、引き続き「AI支援さん」の導入拡大を継続するとともに、現場ニーズに応える新機能として「利用時間管理機能」と「AIチャットBOT」の追加を予定しています。今後も継続的な改善および機能拡充を行い、福祉の就労継続支援B型以外の業態・介護事業・管理業務への対応など利用シーンの拡大を検討してまいります。
このような施策を着実に実行することにより、2026年11月期の業績は、売上高7,242百万円、営業利益175百万円、経常利益165百万円、親会社株主に帰属する当期純利益92百万円を計画しています。
AHCグループは、福祉事業を中心として企業価値のさらなる向上を図るとともに、株主様をはじめとするすべてのステークホルダーへの還元も進めていきます。
2025年11月期は、一過性の損失計上により利益が落ち込んだものの、安定的で継続的な利益還元を実行すべく、1株当たり12円の配当を予定どおり実施しました。2026年11月期につきましても、引き続き1株当たり12円の配当を予定しています。今後も中長期的目標である連結配当性向30%を目指し株主の皆さまへの安定的な還元を行っていきます。また、自己株式取得などの還元策についても、適宜検討・実施していく方針です。
2026年11月期は、これまでの地道な努力が実を結び始めるステージであり、コロナ禍から一定期間を経て、ようやく新たな成長の局面に立つことができたと考えています。
今後も、ステークホルダーの皆さまの期待に応えられるよう、全社一丸となって事業の成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。株主の皆さま、投資家の皆さまには、引き続き変わらぬご支援とご理解を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
福祉事業を中心に事業所の新設・再編やDX推進に取り組んだ結果、
売上高は増収となった一方、開設事業所の増加で営業利益・経常利益は減益。
2026年11月期は、福祉事業所の新規開設を中心とした
事業拡大により、増収・増益の見通し。
6,660百万円
前期比 6.1%増
108百万円
前期比 14.9%減
127百万円
前期比 17.8%減



(注) 2025年11月期より表示方法の変更を行ったため、2024年11月期以前に係る売上高、営業利益および各増減率につきましては、当該表示方法の変更を遡って適用した組替え後の数値を記載しております。
財務ハイライト 決算説明動画AHCグループは「人を想う」をグループ共通理念に、様々な福祉サービスを提供しています。
2025年3月にオープンした「精神障害」「発達障害」のある方がパソコンを使ってITスキルを学び、
自分らしく生きることを応援する就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery 用賀」をご紹介します。
東京都世田谷区用賀
パパゲーノ
Work & Recovery
用賀
「パパゲーノ Work & Recovery」は、全国でも珍しい
パソコンを使ったIT系の仕事が中心の就労継続支援B型事業所です。
パパゲーノ Work & Recovery 用賀は、就労継続支援B型として、ITスキルを学びながら「自分らしく生きる」ことを目指す方々を支援する事業所です。「生きててよかった」と誰もが実感できる社会の実現をパーパスに掲げ、リカバリーの社会実装を大切にしています。
通所者は20代から60代までと幅広く、開設から1年未満ではありますが、毎月の利用登録者数は約40名となり、既存の事業所と変わらない規模で多くの方にご利用いただけるまでになりました。また、用賀駅からは徒歩5分という通いやすい立地も特長です。企業のDX支援につながる業務にも取り組み、障害のある方が実社会で価値を発揮できる環境を整えています。
ご利用者様の多くは、体調や気分の波、人と関わることへの不安、就労経験の少なさなどから、「働きたいのに自信が持てない」「もう一度社会とつながりたい」といった想いを抱えています。ご家族様からも、将来への不安や、安心して通える居場所を探しているという声をよく聞きます。そうした想いに寄り添いながら、当事業所ではITスキルの習得や実務に近い作業を通じて、小さな成功体験を積み重ねていく支援を行っています。また、ご家族様や行政関係者、相談員、訪問看護などの支援者と日々情報を共有し、ご利用者様一人ひとりの変化や困りごとをチームで捉える連携を大切にしています。ご利用者様ご自身のペースを尊重し、対話を重ねながら支援することを何より重視しています。
悩みを抱え、「すべてを投げ出してしまいたい」と感じていた方が通所を始め、少しずつ生活リズムが整い、表情が明るくなっていく姿を見るときに、大きなやりがいを感じます。長年ひきこもり状態だった方が、「将来は働いてみたい」と口にし、他者とのコミュニケーションにも挑戦しようとする姿を見られることは何よりの励みです。こうした一つひとつの変化を、支援者同士が連携しながらチームで支えられていると実感できる瞬間に、強いやりがいを感じます。
パパゲーノ Work & Recovery 用賀 施設長
当事業所の強みは、ITスキルを本格的に学びながら、実践的な作業にじっくり取り組める環境が整っている点です。MacBookを座席数分完備しており、ご利用者様一人ひとりが自分専用の作業環境を持って取り組めるようにしています。また、職員はITやクリエイティブ分野など、それぞれ異なる得意分野を持っており、多様な視点から支援できる体制を整えています。
基本的に日曜日(年末年始を除く)のみが定休日で、通所日や時間の選択も柔軟なため、ご利用者様の体調や生活状況に合わせて無理なく続けられる点も特長です。「自分のペースで働きたい」「ITスキルを身につけて将来につなげたい」という方々にとって、安心と成長の両方を大切にできる環境であることが、当事業所ならではの魅力だと考えています。
「AI支援さん」は、障害福祉・介護現場の業務効率化を目的に開発された
AI搭載のDX支援記録アプリです。
2024年12月にAHCグループの一員に加わった株式会社パパゲーノが、
支援現場の課題に寄り添い開発しました。
音声を録音するだけで、
支援記録をAIが
自動生成
WordやExcelの書類を
登録すれば面談音声から
書類を各行政のフォーマットに
合わせて自動生成
蓄積されたデータから
スタッフや関係機関と
情報連携が円滑に
「AI支援さん」でDXを進める導入事業所・店舗にて、
現場担当者の使用感や導入効果を取材しました。
相談支援事業所
Kさん
面談により集中できるようになり、書類作成にかかる時間も短縮できました。あわせて、記録の質も安定して確保できるようになったと感じています。
薬局
Tさん
接客業(漢方相談)に応用することで、単なる「効率化」にとどまらず、新たな価値観の提供につながっていると感じています。提供するサービスの質が、さらにワンランク向上する可能性を感じています!
デイサービスセンター
Iさん
パソコンで入力する際に、文章を考えながら打つ必要がなくなり、作業の負担が軽減されました。
児童発達支援事業所
Aさん
計画書の原案を作成してもらえることで、作業にかかる時間が短縮され、時間効率が向上しました!
就労移行支援事業所
Aさん
音声録画と文字起こしをしてもらえるので、資料をまとめたり入力したりする作業の手間が削減されました。
就労移行支援事業所
Mさん
以前は、面談中のメモ取りや事後の転記作業に多くの時間を要し、残業が発生していましたが、導入後は自動記録・要約機能の活用により、1時間程度かかっていた作業が約10分に短縮され、事業所全体の残業時間も半減しました。
就労移行支援事業所
Kさん
メモを取る必要がなくなり、面談そのものに集中できるようになりました。また、記録の管理もしやすくなりました。
就労移行支援事業所
Aさん
残業時間や文字入力の手間は明らかに削減できており、ミーティング等の議事録作成にも活用できる点が大きな効果だと感じています!
薬局
Tさん
話した内容のすべてを網羅した上で内容をまとめてくれる点が非常に良いと感じました。編集も秀逸で、顧客からも驚きの声がありました。これがスタンダードになれば、他のサービスでは物足りなく感じてしまうと思います!サービスの質が一段階上がった印象です。
就労移行支援事業所
Mさん
単なる時間の削減だけでなく、スタッフに精神的な余裕が生まれました。これにより利用者様と丁寧に向き合えるようになり、企業訪問や面接同行などの支援活動にも注力できています。利用者数が倍増しても無理なく対応できており、支援の質と働きやすさの向上を実感しています。
このように、現場担当者からは既に高い評価が寄せられており、
「AI支援さん」は実務において有効に活用されている様子がうかがえます。