株主のみなさまへ
AHC
GROUP
PRESS


2025年2月更新 Vol.2

TOPインタビュー
Top Interview

AHCグループ株式会社 代表取締役社長 荒木 喜貴
今期は福祉事業の拡大に注力
さらなる事業成長・高収益化への基盤をつくり
一層の株主還元充実を目指します
AHCグループ株式会社 代表取締役社長 

荒木 喜貴

売上高は過去最高となる60億円超
今後の事業拡大を見据えながら、増収増益を実現

株主の皆様方におかれましては、日々ご理解・ご支援を賜り、深く感謝申し上げます。

社会全体がアフターコロナに向けて前進した2024年11月期。当社グループも次の成長に向けた拡大を推進してまいりました。
事業環境の変化につきましては、2024年4月に3年に1度の報酬改定がありました。当社グループでは、この改定をさらなる事業拡大への推進力とするため、入念な準備に加え、新規事業所の開設をするとともに不採算事業所の整理や人員の再配置などの効率策を進めてまいりました。

その結果、2024年11月期は売上高で過去最大となる6,268百万円(前期比6.0%増)、営業利益は144百万円(同609.0%増)と増収増益を達成。また、経常利益・当期純利益については、第3四半期に上方修正した通期業績計画をも上回る着地となりました。

事業拡大とともにさらなる成長に向けた基盤づくり
新たな成長ドライバーとして就労継続支援B型事業に注力

AHCグループ株式会社 代表取締役社長 荒木 喜貴

2024年11月期は、報酬改定を見据え、今後の成長に向けた基盤づくりをする1年となりました。

3年に1度行われる報酬改定では、国が目指す障害福祉や介護の方向性が反映されます。私たち事業者は、改定内容を踏まえた意思決定が必要で、判断を誤ると、成長を損ねることになりかねません。今回の改定では当社グループへの影響は最小限に留まりましたが、報酬減額の影響を大きく受けた訪問介護などは、苦戦を強いられており、国内の介護事業所の閉鎖数は過去最多のペースとなっています。

このような影響があることを常に念頭に置き、各事業所の運営体制の改善や効率的な人材の再配置を進めてまいりました。また、就労継続支援B型や就労移行支援等のサービス提供体制強化にも努めてまいりました。これら就労を支援するサービスは、社会全体の生産力向上にも繋がる、非常に意義のあるものと認識しております。

さらに、「株式会社manaby」「株式会社パパゲーノ」と資本業務提携をいたしました。就労継続支援B型事業所では新しい運営プログラムの導入を行い、就労移行支援事業所では業態転換をするなどの取り組みを進めてまいりました。

一方、不採算事業所の整理や人員の再配置も行いました。福祉事業と介護事業においては、サービスや事業運営で共通するノウハウが多いため、業種の壁を越えた人材の再配置も実施いたしました。外食事業は、店舗の再編により1店舗の社員数を手厚くし、お客様へのサービス向上と高収益化に結びつけ、売上の拡大と効率化を図ってまいりました。

2025年11月期は、事業拡大×DXで高収益化を目指す
グループインしたパパゲーノとのシナジー効果も最大化

今後は事業拡大に向けて新規の出店を加速させてまいります。2025年11月期は、就労継続支援B型事業所や生活介護事業所など福祉事業で6か所の新規開設を予定しております。

また、高収益化の仕組みづくりとして、完全子会社化した株式会社パパゲーノとのシナジー効果を最大化すべく、社内のDXを進めてまいります。福祉・介護業界は人手不足が慢性化しており、DXによる業務効率化は喫緊の課題となっております。

パパゲーノは、就労継続支援B型事業所の運営を主力事業としつつ、AI支援アプリ「AI支援さん」の開発・販売も行っております。当社グループとのシナジー効果を生み出す取り組みとして、2025年3月にはパパゲーノの運営プログラムを導入した就労継続支援B型事業所の開設を予定しております。さらに、当社グループの各福祉事業所でも「AI支援さん」の導入を進め、パパゲーノの開発リソースを活用して、当社グループのDXを進めてまいります。

「AI支援さん」に関しては、将来的には他社への販売も予定しております。まずは、当社グループの事業所で活用して改良を重ねてからとはなりますが、ストック型収入を確保し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

また、当社グループの事業は、福祉・介護・外食のいずれも従業員ひとりひとりがご利用者様やお客様との接点を大切にしてサービスを提供する意識が重要です。DXによる業務効率化を進めることで「人を想う」のグループ共通理念をより強固にするとともに、スキルアップの機会充実等、人的資本経営にも注力してまいります。採用活動においても、新卒社員採用はもちろんのこと外国人雇用にも注力し、優秀な人材獲得を目指してまいります。

事業所数の推移

グラフ:事業所数の推移

2025年 事業所数(予定)

16

136事業所

2025年11月期 事業所開設計画

福祉事業:6事業所

・就労継続支援B型 :2事業所
・生活介護 :2事業所
・共同生活援助 :1事業所
・児童発達支援 :1事業所

期末配当予想は1株あたり2円増配
引き続き中長期的な株主還元の増加に努める

厳しいコロナ禍を乗り越え、さらなる事業拡大の糧となる成長投資を実施できたのは、ひとえに株主の皆様方のご支援の賜物であると考えております。引き続き当社グループは、企業価値向上による株価上昇と安定的で継続的な利益還元を重点課題とし、上場企業としての役割を果たしていきたいと考えております。

2025年11月期の期末配当は、1株あたり12円と、2024年11月期の10円から2円の増配を予定しております。中長期的には連結配当性向30%を目標に、株主の皆様方への還元拡大を目指してまいります。さらに、自己株式取得をはじめとした資本政策にも積極的に取り組んでまいります。

当社グループでは、「人を想う」をグループ共通理念として掲げております。当社グループの事業領域は、いずれも人が人にサービスを提供します。さらなる事業拡大に伴い、ご利用者様・お客様、そして従業員を含むすべてのステークホルダーの方々の満足度を最大化し、ひいては社会全体の生産性向上に貢献できるよう努めてまいります。

株主の皆様方には、今後も変わらぬご支援とご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

10円→12円

基本方針

中長期的な企業価値の向上に向けた
戦略的投資や財務体質強化のために必要な
内部留保を確保しつつ安定的かつ継続的な
利益還元を業績に応じて適正に行い、
連結配当性向30%を目標として配当を実施

決算サマリー
Summary

コロナ禍を乗り越え、過去最大となる売上高60億円を達成

2024年11月期 連結業績状況

売上高

6,268百万円

前期比 6.0%増

営業利益

144百万円

前期比 609.0%増

経常利益

154百万円

前期比 119.0%増

連結業績推移(単位:百万円)

売上高

グラフ:売上高

営業利益

グラフ:営業利益

経常利益

グラフ:経常利益
財務ハイライト 決算説明動画

特集
Special Contents

グループ会社 CROSS TALK

福祉×AI活用、期待の
ベンチャー企業がグループイン

AHCグループ株式会社
代表取締役社長

荒木 喜貴
株式会社パパゲーノ
代表取締役CEO

田中 康雅
AHCグループが見据える
次世代の「就労継続支援B型」事業所とは

2024年12月に、「株式会社パパゲーノ」が新たにAHCグループの一員に加わりました。
はじめにパパゲーノについてと、その特徴を教えてください。

田中:株式会社パパゲーノは、「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指して、2022年3月に設立しました。2023年9月には就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」の運営をスタートしました。さらに、事業所の支援業務を効率化するSaaSサービス「AI支援さん」の開発・提供をしています。
就労継続支援B型事業所は、障害や難病のある方が利用できる障害福祉サービスです。一般企業などで働くことが難しい方に対して、就労の機会や仕事の場を提供しています。ただ、一括りに「働くのが難しい」といってもその理由は様々です。会話でのコミュニケーションが苦手な方や、出社することそのものが苦痛となってしまう方も多くおります。そのような方には、チャットツールを活用したコミュニケーションや、在宅で仕事ができる環境を整えるなど、ひとりひとりに寄り添った環境があれば、スキルを十分に発揮できる方がたくさんおります。「パパゲーノ Work & Recovery」では特にそのような方々に対してパソコンを使用してできる仕事を、企業から受託し提供しています。事業所のご利用者様の多くは、自分らしい働き方ができる環境を求めており、毎月20名以上の方から「パパゲーノで働きたい」といううれしいお問い合わせをいただいています。

M&Aの背景とねらいを教えてください。

荒木:今後の当社グループのさらなる事業成長を目論むうえで、M&Aによる業務の拡大は必須であると考えております。当社グループでは就労を支援する事業拡大を考えておりましたが、特に就労継続支援B型事業所は、ご利用者様が生産活動を通じて得られる工賃は決して高くなく、事業拡大には工賃の向上も大きな課題の一つとなっていました。そこで、これまで主流であった軽作業や手作業ではなく、ご利用者様が新たな領域で活躍できる生産活動ができないかを考えておりました。さらに当社グループの事業の柱である障害福祉事業は、他業種に比べてもDXが遅れている業種の一つです。実情としては、ITやAIを活用できるデジタル分野に明るい人材が決して多くはない業界です。この障害福祉全体の課題を解決し、一緒に成長していけるパートナーを探していたときに、パパゲーノの田中CEOと出会いました。

就労継続支援B型のビジネスモデル

パパゲーノとは2024年5月から資本業務提携がスタートし、数か月後にはグループインにまで至りました。パパゲーノのどのような点に魅力を感じましたか?

株式会社パパゲーノ 代表取締役CEO 田中 康雅

荒木:最初にお会いしたとき、田中CEOが50ページ近い提案書を持ってきてくれて。その確固たる信念やインテリジェンスには、大変感心したことを覚えております。しかし、一番魅力に感じたのはパパゲーノが就労継続支援B型事業所を自らの手で立ち上げ、運営しているところでした。新規に事業所を立ち上げることは非常に難しく、それを実行し、実際の現場でご利用者様のニーズに触れつつ「AI支援さん」を改良し、広めていくという事業モデルに非常にストーリー性を感じました。

田中:実は「事業所を持とう!」と提案したとき、社内での反対意見はとても大きなものでした。新規事業所の開設には大きな初期投資が必要となりますし、一度事業所を開設したらご利用者様のためにも簡単には閉鎖はできません。本当に就労継続支援B型事業所を自社でやるべきなのか、チームで徹底的に議論したうえで最後はやると決めました。

荒木:当社グループでも新規事業所を開設し、運営が安定するまでの資金として3,000万円程度を見込んでいます。かかるコストの大きさはもちろんのこと、資金面以外にもご利用者様・従業員・行政・医療機関など各ステークホルダーとの関係性も並行して構築していかなければなりません。

田中:それでも、需要があることは確信していました。きっかけは、就労継続支援B型を利用されている方からの「パソコンを使って仕事ができる事業所がない」と生の声を聞いたことでした。その方は、学ぶ意欲も仕事をする意欲も高く、そしてパソコンスキルもあります。しかし、そのスキルを活かせる事業所は自宅近くにはなく、諦めて今の事業所に通っているとのことでした。調べてみると、全国にある約15,000の就労継続支援B型事業所の内、少しでもパソコンを使用した仕事を行っている事業所は7.5%程度しかなく、そこには障害の有無に関係なくパソコンやスマートフォンといった情報機器を日常的に使用するようになった現代社会との大きな隔たりが存在していました。だからこそパソコンを使用した仕事を軸とした“パパゲーノ型”の事業所がひとつでもうまくいけば、それを全国に波及できるのではないかと。その仮説をスピーディに検証するためにも事業所を実際に運営することは必然でした。ただ、一つの事業所で得られた知見を業界全体に広げるには、やはり上場企業や国・自治体を巻き込んだ動きが必要になると感じていました。そのような折、出会ったAHCグループは124もの事業所を運営しています。今回のグループインは「リカバリーの社会実装」を目指す私たちにとって願ってもないことでした。

パパゲーノ Work & Recovery 八幡山
パパゲーノ Work & Recovery 八幡山

パパゲーノが開設した就労継続支援B型事業所のはじめての店舗。

点線
絵本「飛べない鳥のかけるん」

株式会社パパゲーノが企画・編集した、統合失調症当事者の語りを題材にした絵本『飛べない鳥のかけるん』。

絵本「飛べない鳥のかけるん」

グループインして3か月。M&Aによって、両社にどのような効果がありましたか。

AHCグループ株式会社 代表取締役社長 荒木 喜貴

荒木:福祉・介護業界全体の効率化にDXが寄与できる未来を見据えつつ、今は当社グループ全体のDXについて枠組みや方向性をすり合わせている段階です。他方、各事業所レベルでは資本業務提携後から一部の事業所で「AI支援さん」を導入し、その効果測定や改善点の抽出を開始しております。

田中:導入した事業所で得られた様々なデータは「AI支援さん」における知識のデータベースとなり、支援記録や個別支援計画、行政に提出する書類を自動生成してくれるようになります。他にも、希少疾患のある方に対しては蓄積されたデータベースから、参考事例が見つかったり、対応経験があるグループ社員から効果的な支援方法を聞いたりすることもできるようになります。一方、虐待やハラスメントといったリスクがある発言にはアラートを出すことなどもでき、ご利用者様と従業員の双方を守ることにも繋げられます。

荒木:そのような「量」が重要となるデータの蓄積等、やるべきことが明らかなものについてはスピード感をもって実行しています。今後、すべての事業所で導入することを目指し、より多くのデータを取得・蓄積し、アプリの改善を加速させてまいります。

田中:スピード感と言えば、新規事業所開設までのスピードには驚くものがありました。
AHCグループで「パパゲーノ Work & Recovery 用賀」の開設を3月に予定しています。新規で事業所を開設するには、物件や人材の確保、そして何より行政の指定が必要となります。この指定がスムーズに下りないと、当然事業所の運営はできませんからその間、資金は流出し続けることになってしまいます。そのリスクを取ることは、僕たちだけではやはりできない。「ニーズはあるのに、開設できない」というもどかしさを解消できたのは、やはり上場企業の信頼性と資金力があってこそだと実感しました。

荒木:当社グループには、事業所運営の強みに長けた人材が揃っている一方、デジタル分野の専門人材は不足しています。グループインと同時に、田中CEOにはAHCグループの株式を取得してもらいました。さらにパパゲーノの社員の皆さんにも株式を付与する予定となっております。パパゲーノの皆さんには、DXをはじめとしてダイナミックな挑戦を期待するとともにAHCグループの企業価値向上を一緒に実感してもらえることを期待しています。

今後のAHCグループの成長が楽しみです。最後に、株主・投資家の皆様へ一言お願いします。

田中:パパゲーノは、「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指して、生成AIを活用した新しい障害者支援の形をこれまで模索してきました。障害のある方にとって、社会資源としてAIを使いこなすとできることが増えて可能性が広がることを確信しています。今回の協業により、「パパゲーノ Work & Recovery」の施設拡大や「AI支援さん」の開発・導入の拡大をAHCグループの力を借りて推進していけることを嬉しく思っております。より多くの方々に新しい可能性を提案し、障害福祉業界全体の発展にも貢献していけるよう尽力します。

荒木:障害福祉事業の中でも就労を支援する事業所は、誰かの「働く」を実現していくこと。ご利用者様のひとりひとりが未来に希望を持ち、自分らしく働ける環境を整備することがミッションだと考えております。障害のある方々の社会活動が形だけのものとならないよう、今後も福祉業界に貢献してまいります。

グループ事業所探訪

AHCグループは「人を想う」をグループ共通理念に、様々な福祉サービスを提供しています。
今回は、2017年の開設以来、野菜作り×福祉で未来を創造する
就労継続支援B型事業所「ラシーヌけんこうソムリエファーム」をご紹介します。

ラシーヌけんこうソムリエファーム
三重県亀山市小下町
ラシーヌけんこう
ソムリエファーム
「野菜作りを通じた社会参加」をコンセプトとして
水耕栽培を中心に就労支援サービスを提供しています!

Q
ラシーヌけんこうソムリエファームはどのような事業所ですか?

障害のある方や働くことに自信のない方の社会参加を支援する就労継続支援B型事業所です。ご利用者様は、知的・身体・精神の障害のある方、引きこもりの方や、一般就労したもののなじめず退職したが、再度社会参加したい方等、いろいろな方がいらっしゃいます。野菜や果物の成長を見守り、販売することで、ひとりひとり背景の異なる方の気持ちを大切にしながら、「みんなで協力してものを作る」ことを大切にしています。

Q
ご利用者様を支援するために、どんな取り組みをしていますか?

主な作業内容は、水耕野菜の栽培や出荷調整をしています。室内作業(種付け・野菜の根切り・袋詰め・ラベル貼り等)、ビニールハウス内作業(苗の植替え・収穫・パネル交換等)があります。
ご利用者様の状況や取り組みの傾向に応じて、個別作業もできるよう、個室・パーテーション配置や作業内容を調整しています。作業も種子管理作業から発芽管理・温度管理・収穫管理・発送梱包管理など細かく分け、ご利用者様に寄り添う取り組みをしています。

1日のスケジュール(一例)

Q
事業所が目指していることはどのようなことでしょうか?

AHCグループでは、ご利用者様のライフステージに応じた様々な福祉サービスを提供しています。
ラシーヌけんこうソムリエファームでは、野菜作りを通じて社会とのつながりを深める機会を提供しており、一人でも多くのご利用者様に成長の喜びをお届けしたいと思っています。

ラシーヌけんこうソムリエファーム